日浦統、石垣明真、角拓哉 鈴木剛志、佐野楓、中野龍三
北海道電力泊原発(泊村)の運転差し止めを命じる判決が31日、札幌地裁で下された。提訴から10年以上が経つ中、判決文には「被告(北電)が主張立証を終える時期の見通しが立たない」「説明は十分でない」と姿勢を問う言葉が並んだ。国の原子力規制委員会にも審査遅れを招いたと批判される中、司法にも指摘された北電の対応。原告弁護団からは「原発を稼働させる能力はない」(団長の市川守弘弁護士)との声が上がった。(日浦統、石垣明真、角拓哉)
北海道電力泊原子力発電所
北海道の日本海側の積丹半島西側の付け根に位置する泊村にあり、1~3号機はすべて加圧水型。敷地面積は約135万平方キロ。出力は計207万キロワットで、東日本大震災前は北海道で使われる電気の約4割を担っていた。震災後の11年4月~12年5月、1~3号機は順次、定期検査のため運転停止。国の新規制基準施行を受けて、原子力規制委員会による再稼働の審査が続いている。
北電が泊原発の再稼働を申請したのは2013年7月。新規制基準の施行と同時だった。同時期に申請した他電力の原発は再稼働したが、泊原発は停止が続く。市川弁護士は判決後の会見で「北電だけが基準をクリアできていない。裁判所が規制委の代わりに答えを出したのがこの判決だ」と語った。
小野有五・北海道大学名誉教授(自然地理学)は「行動する市民科学者の会・北海道」のメンバーとして、泊原発敷地内の断層は「活断層だ」と指摘してきた。12年5月の第2回口頭弁論では「泊原発は日本海側のプレートに極めて近く、活断層の動きなどで大地震や巨大地震が起きる可能性が大きい」と意見陳述した。
一時は再稼働寸前にも
一方、北電側は「抽象的な可能性の指摘だ」と主張。小野氏は「(北電は)規制委の方ばかり見ていた」といい、規制委の審査を理由に、訴訟での主張を先延ばしする姿勢が目立ったという。
裁判が続く中、規制委の審査…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル